通りすがりの腐男子 こめかみひょうひょう(雁須磨子)
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こめかみひょうひょう(雁須磨子)
2010-09-12-Sun  CATEGORY: 大洋図書
『自意識過剰』は善か悪か。

相手に対しての意識が強まれば強まるほどに心のブレーキがかかる時がある。

人によっては好きになったらまっしぐらに向かっていく人もいるけど、
中には逆に慎重に身構えてしまう人もいる。

意識してるのに、意識してると悟られたくないという思いがよぎる。
それは自分と同じ気持ちをきっと相手も持ってくれるとは限らないから。
きっと自分が思うほど相手は自分のことを意識してくれてはいないと思えるから。

特別な思いがあるからこそ、壊したくなくて、壊さないためには今の状況を保ちたい、という
ヘンな防衛意識が働く。

それゆえに話しかける、とか体に触れるなんてことは出来るはずもなく、
ただ離れたところからそっとみつめる、とか、あえて無関心を装うとかいった
当人が抱えているであろう「想い」とはどこか矛盾した行動に現れる。

いや、本当は伝わった方がうれしいし、伝えないことには相手にわかってもらえないことは
百も承知である。
立ち止まったままでは前に進めない、と同じくらいにごく当たり前の理屈である。

主人公、橘高照佳は芳野憲二に秘かな想いを寄せていた。

どうして「秘か」なのか。
それには主人公の手痛い過去ゆえによる。

数年前、主人公はあるクラスメートに想いを寄せていた。
その想いはあくまで秘かな思いであったはずなのに、
無意識の内に秘かだったはずの思いがそうでなくなってしまったのだ。

さりげなく見つめるつもりがさりげなくで済まなくなってしまった。
見つめていた相手以外にも主人公の行動が明らかになると周囲は一斉に拒否反応を示した。

「キモい」

そこからはまるで階段を転げ落ちるようだった。
クラス中の笑い物にされ、その衝撃が大きいがゆえに部屋に引きこもり状態となる。
引きこもるから当然学校には登校できない。
そうなればあとはもう転校するしか道はなく、現にそうした道を選択したのだった。

だから今度の片想いも、「秘か」であるのは当然として、
さらには相手に想いを悟られないようにしなければならないというもう一つのハードルを
クリアしなくてはいけなかった。

それでもこれも若さゆえ、か、本当に心の中だけに想いをとどめることができなくて
自分のケータイにそっと相手のオフショットを撮影することが日課になっていた。
きっと感覚としては朝顔の観察日記のように。

朝顔の観察日記といえば、小学校の理科の定番中の定番。
花の咲くタイミングも蔓の伸び方もひとそれぞれゆえにすごくパーソナルな要素が強い。
主人公が朝顔の観察日記に芳野のオフショットを取り混ぜていたのも、
もし後で想いがばれた時、過去の痛い記憶が甦るのが嫌だったのだろう。

でも主人公は本当に慎重だった。
ある時にふと思い立って、芳野の画像はパソコンに移しかえ、ケータイには朝顔の画像だけを
残すようにしていたのだ。
そうすればもし芳野に見られたとしても疑われることはない。



こうした主人公の行動は一見とても矛盾しているが実はこれこそがこの話の「ミソ」だ。

自意識過剰ともいうべき主人公の行動はどこまでも「痛い」。
なんでそこまで防御に防御を重ねるんだ、とじれったく思う人もいると思う。

冒頭に「自意識過剰が善か悪か」なんて書いてしまったけど、
相手が自分のことをどうみているか、どう思っているのか、とは
他者がいる、という状況がそこにある以上、全く無視できる行動ではないがゆえ、悪ではないと思う。
他人の存在なくして自分の存在がそこにあるはずがない、と思えば尚更だ。

自意識過剰ということばにどこかマイナスのイメージが強いのも「過剰」というフレーズに
表現されるいわば度が過ぎる行動がえてして他人の理解を得られにくい、という部分に
とらわれてるからではないだろうか。

自分もこと恋愛においては「自意識過剰」の傾向がある。
だからこそ、過剰であることへの引け目を感じてもいた。
結局のところ相手のことを思いつつ、最後は自分が傷つきたくないという想いがこれまた
過剰すぎるからではないのか、というところがわかってたから余計に。

本来ならそうした目をそむけたい部分を作者は割とこれでもかと主人公に行動させている。
これがなかなか自分には堪える。

でもそれでも読まずにはいられないのは、何もこれがM属性がゆえか、さて…。




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